【書評】「死にたい夜にかぎって」~羨ましくないけど羨ましい~
爪切男さんの「死にたい夜にかぎって」読了。
読もうと思ったきっかけはいたって単純で、自分の好きなBiSHのアイナ・ジ・エンドさんが解説を書いているから、ドラマ版の主題歌を同じくアイナさんが歌っているから。(素晴らしい曲なのでぜひ聞いてみてほしい)
読み終わって私は、「羨ましくないけど羨ましいなあ」と感じた。
起こる出来事は笑ってしまうようなものが多いのだが、不思議といいなあと感じてしまう。
この物語は、実体験をもとにありのままに綴られているのだが、私のこれまでの無難な人生とは180°違っているような気がした。最悪を最高にできる力こそ、生きていくのに一番必要なのではないか。不安ばっかり気にして生きていくのがばからしくなってくる。そんなメッセージを伝えたかったのかは著者のみが知るところだが、私はそう感じた。
登場人物が皆、人間味にあふれている。というか「人間味にあふれる」という次元ははるかに超えている。
本の面白さは、他人の人生を追体験できるところにあると思っている。それが架空の人物であっても、実在する人物であっても。その点において本当に面白く、すらすらと読んでしまった。
私は最近友人におすすめの本を教えてくれと頼まれることがあり、この本をお勧めしたいとも思ったが、若干下ネタも含むのでやめておこう。
その代わり、自分の部屋の本棚の目立つところに並べておきたい。
そんな一冊だと感じた。
アイナさんの「死にたい夜にかぎって」を聴きながら、マンハッタンのコメントを探してみよう。